”干渉”が行き過ぎてしまうと相手にとってストレスになるということは認めなければいけません。
何故なら、相手が思っていることに対して必ずしも共感出来るとは限らないですし、その人の価値観を無理やり押し付けることになるからです。
価値観の形成については、生まれ育った環境、今まで経験してきた事によって多種多様な考え方が生まれるわけですから、当然1+1=2のように答えがあるわけではありません。
そして、私たちを困惑させる言葉があります。
それは「あなたのためを思って~」です。
「ためを思って」という言葉は、一見親切心として受け取られやすいですが、必ずしもあなたのためになるとは限りません。
それには、発言した人の感情や願望も含まれているからです。
そしてこれは、我々を理屈抜きに縛り付けるための大変便利なツールにもなります。
次のような発言に対して、反論したり、「うざい」と思ったことはありませんか?
子供に対して母親はよく「ちゃんと勉強しなさい」と言います。
間違いではないです。
勉強をすれば、大人になった時に、より生活を豊かにすることが出来ます。
でもこのような背景が隠れている場合もあります。
・ママ友に馬鹿にされたくない。
・有名な学校や大学に入ってくれれば堂々と出来る。
・親戚に自慢したい。
これはあくまで例ですが、見てみるとわかるように、相手のためではなく、”自分のため”であることがわかります。
それでは、なぜこのような言葉を使ってしまうのかを考えてみましょう。
あなたのためを思ってと言ってしまう心理
根拠はないけど束縛したい

相手を自分の思い通りにコントロールしたい欲が強いと、それはいずれ束縛となって、従わないとストレスとなります。
人のためを思うのであれば、相手が嫌がっていることを素直に受け止める勇気が必要です。
明確な理由がない場合は、それは単なる強要になってしまいます。
特に、すぐにでも言う事を聞いて欲しい場合は、「なぜ」の部分が省略されてしまいがちです。
自分が優位だと思っている

相手にアドバイスする場合、それなりに説得するための知識であったり経験が必要になることもあります。
登山家が山登りをレクチャーする場合、”あなたのために”注意をすることは、あなたの命を守る事にも繋がります。
そのためこのケースは、本当にあなたの事を考えて指導しています。
しかし、普段の日常生活においては、「こういうところを直したほうがいい」というように、あなたの性格や容姿についてさえ改善を求めてくる人がいます。
それが会社のような組織の中で、円滑な人間関係を築くために必要なことであれば、きちんと耳を傾けなければいけませんが、極力ストレートな表現を避けて、アドバイスをしてあげている姿を見せることで、”なるべく相手よりも優位に立ちたい”という個人的な心理が働いている場合もあります。
これが過度になると、「相手を言い負かせたい」、「ねじ伏せたい」と思うようになります。
これが俗にいう”マウンティング”です。
責任を負いたくない

自分の発言には自信はないが、相手をコントロールしたい場合、「あなたのために」という前置きを置くことで、あくまで自分が強要したわけではないというアピールをしつつ相手を束縛することが出来ます。
たとえ、間違ったことを言ったとしても、「あなたのために」を保険にすることで責任を逃れる事が出来るからです。
「あなたのためを思って」という言葉に対する反論
「あなたのため」と言われると、相手が自分のことを考えてくれたのだから、従わなければ申し訳ないという罪悪感が生まれます。
返し方としては、まずは真に受けないことが大事です。
相手が思う理想と、あなたが目指す理想は違います。
そして、「あなたのためを思って」という言葉には具体性が欠けていることも見逃してはいけません。
どうしてもマウントを取られるようであれば、このような返答をしましょう。
「あなたの為にと言いますが、では、私の為になる理由を説明してもらっていいですか?」
本当に相手を思っての発言であるならば、具体的なビジョンが存在します。
それを誤魔化されるようであれば、あなたのことを考えていないということです。
人間関係はとても複雑です。相手とのコミュニケーションによって簡単に亀裂が入ることもあります。
でも、自分が理不尽な扱いを受けていると感じる場合は、相手のペースに飲み込まれないためにも、冷静に対処しましょう。
参考文献